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富裕層が好み、国税庁がメスを入れたいタワーマンション相続

カテゴリー: ビジネス
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タワーマンション相続への監視強化

日本経済新聞2015年11月3日朝刊によると、国税庁が全国の国税局に対し、タワーマンションを使った相続税対策への監視を強化するよう指示していたことがわかったそうです。

 

タワーマンション節税

 

タワーマンションを使った節税とは?

タワーマンションのように、同じ土地を共有している戸数の多い建物で、かかる税金の差異に着目して相続税対策を行うものです。例えば、同じ面積に、一軒屋が建っている場合と、マンションが建っている場合などでは、同じ面積に居住している世帯数は異なってくると思います。

 

不動産の相続税はどのような仕組みになっているのか。

そもそも不動産を相続する際の評価額の計算は、次のようになっています。

マンションや一軒家の相続税評価額(土地)= 敷地全体の評価額 × その部屋の持ち分割合

今回のケースでは、上記の計算式のうち「その部屋の持ち分割合」 の部分が重要になります。高層マンションには部屋数が多いので、1戸あたりの持ち分が小さくなり、結果として相続税の評価額が低くなるというからくりです。

相続税の実務では基本的に、土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価します。
路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことです。
路線価方式での土地の価額は、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。

 

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[出典:国税庁ホームページ]

一方、建物は固定資産税評価額に1.0倍して評価するので、評価額は固定資産税評価額と同じです。

おおよその割合で、路線価は時価の約80%、固定資産税評価額は資材価格や人件費など建築コストを積み上げるので、大体時価の40~60%くらいになります。結果的に、換金性の高い有価証券など(*1) に比べて評価が低くなります。

これは土地付き一戸建ての相続に関しても同じですが、マンションは時価に占める建物の割合が大きいので、その分評価が下がることになるんです。
富裕層を中心に、節税のためにタワーマンションが購入されるのは、こういった背景があるのですね。

 

なにが問題なのか

もともと不動産課税については、高額な相続税を課すことは残された家族の居住がおびやかされる懸念がある等の配慮から、「小規模宅地等の特例」などの軽減措置が多く用意されています。
今回のケースの場合、そのような税務当局が本来意図していた背景とは異なる、むしろ恣意的な解釈によって過度な節税を図られていることが問題といえます。

 

今後の動き

毎日新聞が報じている国税庁の調査によると、「2011年から13年の確定申告のデータを基に、全国343件の20階建て以上の高層マンションの実売価格を抽出。相続税の評価額と比較したところ、平均で約3倍、最大で約7倍の格差があった。」とのこと。数千万円単位の節税になっているケースもあるようです。
国税庁は今後、節税目的でのタワーマンション相続への監視を強化する方針とのこと。

今後の動きに注目したいところです。

 

*1)  国税庁によると、たとえば上場している会社の株式は、東証など、その株式が上場されている金融商品取引所が公表する課税時期の最終価格によって評価されます。(もしくは別の計算方法により算出した額が低い場合はそちらが優先されます)

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